ガイアノーツより発売の『イージーペインター』を購入したので、商品内容と基本の使い方から洗浄方法、使ってみた感想を紹介します。
僕のように、今まで塗装はガンダムマーカーやスプレー缶で行っていた人やエアブラシを持っていない人向けの内容です。
イージーペインターとは
イージーペインターは、筆塗りやエアブラシで使用する瓶入り塗料や、自分の調色した塗料を簡単にスプレー塗装できるツールです。
イメージとしてはスプレー缶塗料の持つ「塗装の手軽さ」と、エアブラシの持つ「塗れる塗料の自由度」の良いとこ取りをしたツールになります。
個人的には以下の人におすすめです。
- これまでガンダムマーカーやスプレー缶で塗装してきた人
- エアブラシの購入を検討している人
これまでガンダムマーカーやスプレー缶で塗装してきた人
僕自身もプラモデルの塗装はずっとガンダムマーカーかスプレー缶だけでやってきました。どちらもそのまま塗るだけで塗装が完了、片付けも楽なのが理由です。
ただ大きな難点としては色数の少なさがあります。
例えばクレオスのスプレー缶塗料のラインナップは約90色程度。一方で同じくクレオスの瓶入りラッカー塗料である『Mr.COLOR』シリーズには200色近くもの塗料が揃っていますし、飛行機模型用カラーや艦船模型用カラーなどの特別色の展開も含めるとさらに増えます。(2024年8月時点)
また、クレオスの水性アクリル塗料である『水性ホビーカラー』なら約100色の基本ラインナップに加えて『水性ガンダムカラー』のシリーズ展開もあります。
クレオスだけでも多くの色が揃っている上、タミヤやガイアノーツ、フィニッシャーズなど他メーカーの塗料も含めると欲しい色には困りません。(色を混ぜて調色するなら文字通り無限ですね)
僕がイージーペインターを手に取った理由も「スプレー缶塗料に欲しい色がないから」でした。
エアブラシの購入を検討している人
いずれはエアブラシを導入したいけど、お金や居住環境の問題がある人や、塗料の希釈や調色をしたことがない人には、その前段階として購入を検討するのもアリだと思います。
機材を揃えると数万円単位の出費になるエアブラシに比べれば遥かに安く済みますし、塗料の扱い方も身につけられます。
イージーペインター商品内容
パッケージ表面には商品画像と、簡単な使い方が記載。パッケージ裏面には使い方から片付け方までのやり方が詳細に書かれています。
商品の中身は以下の5つ。
- イージーペインター本体
- 専用ボトル
- 計量カップ(30ml)
- スペアチューブ
- 取扱説明書
画像は少し見ずらいですが、計量カップには5ml単位で30mlまでのメモリがついています。
イージーペインターでの塗装に必要なアイテム
イージーペインターを使うには以下の道具が必要になります。
塗料
イージーペインターはガイアノーツの商品ですが、だからといってガイアノーツの塗料にしか使えない訳ではありません。
クレオスでもタミヤの塗料でも問題なく使用が可能です。
うすめ液(溶剤)
画像は水性アクリル系塗料用の溶剤、クレオスの『水性ホビーカラーうすめ液』です。
塗料はそのままだと濃すぎてスプレーで吹けないので、希釈用のうすめ液が必要です。
また、うすめ液はラッカー系塗料用、水性アクリル系塗料用など塗料の種類に応じた使い分けも必要になります。
例えばラッカー系塗料用ならクレオスの『Mr.カラーうすめ液』やガイアノーツの『T-01 ガイアカラー薄め液』。水性アクリル系塗料用ならクレオスの『水性ホビーカラーうすめ液』やタミヤの『アクリル溶剤』などです。
調べたところ、塗料とうすめ液の組み合わせについては、クレオスのラッカー系塗料『Mr.COLOR』に対してガイアノーツの『T-01 ガイアカラー薄め液』を使うなど、違うメーカー同士でも問題ない場合もあるようです。
ただ、個人的にはクレオスの塗料にはクレオスのうすめ液を。タミヤの塗料にはタミヤのうすめ液を使う方が、その塗料の性能を最も発揮できると思います。
調色スティック(かき混ぜ棒)
主に塗料を混ぜる時に使います。各メーカーから以下のような専用品が発売されています。
ただ僕は、使用後の塗料の拭き取りがめんどくさいので、使い捨てできる100円ショップの木製のスティックで代用しています。
クリーナー(洗浄用溶剤)
画像はクレオスの『Mr.ツールクリーナー改』です。塗装作業後、イージーペインターや計量カップに残った塗料の洗浄や拭き取りに使います。
うすめ液と同様、タミヤやガイアノーツなど各メーカーから同様の商品が発売されています。
スポイト
塗料やうすめ液を計量カップなどに移し換える時に使います。画像はクレオスの『Mr.スポイト(短)』ですが、100円ショップのもので十分だと思います。
防毒マスク
塗料や、うすめ液、クリーナーを使っていて気になるのが臭いです。
水性アクリル塗料や、うすめ液なら自分はまだ気にならないですが、クリーナーは特に強いシンナー臭があります。
長時間での作業だと人によっては頭痛や、めまいなどの症状に繋がります。特に屋内なら換気もしつつ、身体への影響も考えて、マスクを付けた方が無難です。
僕が使っているのは画像にある『3M 防毒マスク 塗装作業用マスクセット』になります。
基本的な使い方と洗浄方法
ここからイージーペインターの基本的な使い方を紹介します。ここで使用する塗料はクレオス『水性ホビーカラー』の水性ガンダムSEED DESTINYカラーシリーズより『HUG201 ソードインパルスレッド』です。
水性アクリル系塗料なので、うすめ液も専用のクレオス『水性ホビーカラーうすめ液』を使用します。
塗料を混ぜる
塗料はそのままだと中身が分離しているので、使う前に調色スティックでかき混ぜます。
塗料を必要量だけ取る
塗料を必要な量だけ、計量カップに移します。瓶から直接移すと塗料がドバッと垂れる危険があるので、スポイトを使います。
塗料をうすめ液で薄める
塗料を入れた計量カップに、うすめ液を入れてかき混ぜます。
ガイアノーツの公式サイトには「塗料1に対して溶剤1~1.5くらいの割合で薄めます。」と記載がありますが、これは同じガイアノーツの塗料の場合で考えた方が良さそうです。
他のメーカーの塗料の場合は、各公式やモデラーさんが発信している希釈率を目安に薄めると、大きく間違えないと思います。
以下は、それらをまとめたものです。あくまで目安なので、参考までに。
クレオス『Mr.COLOR』シリーズの場合
ラッカー系塗料。塗料1に対してうすめ液1の比率(1:2)で希釈。
クレオス『水性ホビーカラー』シリーズの場合
水性アクリル系塗料。塗料1に対してうすめ液1の比率(1:1)で希釈。
クレオス『アクリジョン』シリーズの場合
水性エマルジョン系塗料。1に対してうすめ液0.3の比率(1:0.3)で希釈。
タミヤ『アクリル塗料ミニ』の場合
水性アクリル系塗料。塗料1に対してうすめ液1の比率(1:1)で希釈。
タミヤ『エナメル塗料』の場合
エナメル系塗料。塗料1に対してうすめ液1の比率(1:1)で希釈。
フィニッシャーズ『フィニッシャーズカラー』の場合
ラッカー系塗料。塗料1に対してうすめ液3〜4の比率(1:3〜4)で希釈。
本体にセットして塗装
塗料を専用ボトルに移し替えて、本体にセット。これで準備完了です。
なお、公式サイトによると、専用ボトルに入れる塗料の量はボトルの7分目くらいまでに。とのこと。
測ってみるとボトルに一度に入れられる塗料の量は約10ml程度になります。
塗装イメージ
以下、カラーチップに塗装を行ったイメージです。左から順に、黒、グレー、白のサーフェイサーを下地にしたものに塗装しています。
スプレー缶塗料と同じように「シューー」と左右に動かしながら吹き付けを行いました。少し液がダマになった部分もありますが、これは慣れの部分なので、吹き方を調整すればキレイに塗装できると思います。
スプレー缶塗料に比べてボタンの押し込みが軽く、少ない力で吹き付けができます。吹く回数が多いと、地味に指が疲れてくるので、ありがたいポイントです。
ツールの洗浄
塗装が終わったら洗浄をします。
もしボトルに塗料が余っていて捨てるのがもったいない場合は、別の保存容器に移し替えましょう。イージーペインター専用ボトル2本入りのスペアボトルが売っているので、そちらを使ってもいいですし、100円ショップで手に入る保存容器でもいいと思います。
専用ボトルにツールクリーナーを少量入れ、再度イージーペインターにセット。そのまま軽く振ってボトルの中と本体チューブを洗います。
溶剤を交換しながらボトルがキレイになるまで洗浄します。
この時、使い終わった溶剤は排水口に流したりせず、新聞紙や布などに吸わせて可燃ゴミとして処分しましょう。
余った塗料・使用済みのうすめ液等の処分方法
余った塗料は不要な布や紙に含ませた上で換気の良い屋外に放置し、乾燥後にプラスチックゴミとしてお住まいの各自治体の指示に従って、ご処分下さい。
GSI クレオス Mr.HOBBY
スプレーの吹き出し口やチューブにも少量の塗料が残っているので、ティッシュにツールクリーナーを染み込ませて拭き取り。計量カップもツールクリーナーを注いでゆすいだり、ティッシュで拭き取ってキレイにします。
以上が、塗装から洗浄までの流れになります。
イージーペインターのメリット
最後に、イージーペインターを実際に使ってみての感想です。まずはメリットから。
塗る色に困らない
これまでスプレー缶だけで塗装してた自分からすれば、なんといっても塗装色の選択肢に困らなくなったことが一番大きいです。
スプレー缶塗料だと限られた色の中から選ぶしかありません。
特にガンダムシリーズのようなキャラクターモデルだと、航空機や自動車などのスケールモデルと比べて独特な色彩のものも多く、似た色の塗料で我慢するしかないのが悩みどころでした。
イージーペインターの導入で、逆に選べる色が多すぎるという嬉しい悩みはできますが、塗装色の圧倒的自由度は何よりのメリットです。
スプレー缶塗装からの移行がスムーズ
筆塗りだと塗る面積が多いと作業量が大変で、コツを掴まないと色ムラが気になります。
エアブラシだとエアブラシ本体(ハンドピース)やコンプレッサーなどツールの導入に、それなりのお金がかかります。商品にもよりますが、ハンドピースとコンプレッサー合わせて数万円単位の支出です。
また、人によっては住宅環境によりコンプレッサーの動作音が気になったり、ツールの手入れや置き場に困るケースもあると思います。
その点、イージーペインターなら塗装のやり方がスプレー缶と同じ感覚なので、とっつきやすいですし、初期費用もエアブラシに比べれば格安です。
使用塗料の把握が楽
スプレー缶塗料だと、塗料の残量が把握しずらくスプレー缶を持った時や振った時の感覚でしか測れません。
スプレー缶以外の塗料なら全部そうですが、塗料の残りが数ml単位で把握できるので、塗装作業中の「足りる/足らない」が一目で分かります。
デメリット
続いてデメリットについて。
揃える道具が割と多い
前述の通り、イージーペインターを使って塗装をするには、うすめ液やクリーナーなどの溶剤、スポイトや調色スティックなどのアイテムを揃えてないといけません。
普段、筆塗りやエアブラシを使っている人なら当たり前なことかと思いますが、僕のようにこれまでガンダムマーカーやスプレー缶で塗装していた人には、ちょっと荷が重く感じますね。
エアー缶が小さくて値段が高い
他の人のブログなどでも目にしたのが、イージーペインターのエアー缶の小ささ。
小さい分、手に収まるので取り回しやすくはありますが、容量が少ないので割とすぐ消費します。
イージーペインターのエアー缶の容量は80ml。単純比較はできないですが、クレオスやタミヤのスプレー缶塗料は100mlです。
エアー缶だけのスペアも発売されてますが、2本入りで1,760円。一般的なエアーダスターが一本300mlほどの容量で数百円で手に入ることを考えると、結構お高めです。
調べたところ、イージーペインターは自作ができて、その分費用も安く済むようです。
詳細は以下記事に書いたので参考までに。
洗浄がめんどう
これも筆塗りやエアブラシ派の人からすれば当たり前の話ではあります。
塗装後はイージーペインター本体やスポイト、計量カップに残った塗料をクリーナーを使って拭き取りが必要です。洗浄自体は仕方ないので、やるしかありません。
が、毎回必要量だけ塗料を希釈していると、その度にスポイトやら計量カップを洗うのがめんどうに感じたので、僕は希釈済み塗料を作り置きすることにしました。
こちらも詳細は以下記事に書いています。
塗装色にこだわるなら、買った方がいい
最後にまとめです。
繰り返しになりますが、僕はプラモデルを塗装する時はずっと、クレオスかタミヤのスプレー缶塗料で塗装をやってきました。(+たまにガンダムマーカーをポイント使い)
「この機体の青に一番近い色はどれかな?」「もうちょい淡い色ないかな?」とか探すんですが、スプレー缶だとどうしても色が限られるので、自分の中でベストの色がなかったりします。
ジャスティスガンダムの絶妙なピンク色だったり、ガンダムエクシアの淡く紫がかった青だったり、、。
イージーペインターなら、調色をしなくても数百の中から色を選べるので、塗装する色を妥協したくない人、こだわりたい人にはオススメです。
また、筆塗りに苦手意識がある人やエアブラシは荷が重いって人にも、スプレー缶塗装の次のステップとして使ってみるのもアリだと思います。